1010house デザイン住宅&リノベーション

温熱環境について考える

「建築家が設計した住宅は寒い」
は間違い

1010houseの手掛ける住宅は、省エネ対策等級4(次世代省エネ基準)以上を標準仕様としています。これにお客様のご要望や地域性、建物形状・プランなどを考慮して、断熱材の種類・厚さ・工法、窓の素材・ガラスの種類、換気システムなどお客様に提案させて頂いております。省エネ対策等級4(次世代省エネ基準)は仕様規定と性能規定があります。仕様規定はあらかじめ規定されている断熱材と厚さを採用することで満足できます。性能規定ではそれぞれの地域にあったQ値(熱損失係数W/㎡K)以下になることが必要です。Q値は屋根・外壁・床・窓・換気のそれぞれの熱損失(W/K)の合計値を床面積で割った値になります。これは住宅のプラン・大きさで変わってしまいます。ここで簡単なモデルで比較をしてみます。

図1と図2では床面積、窓の大きさ・数は同じとします。外壁の面積のみが異なっています。図1は外壁面積が図2の1.25倍にもなります。Q値の差を計算すると約0.2W/㎡K図1の方が数値は良くなり、断熱性能が高いことを意味します。 断熱性能(Q値)だけを比較するのならば、正方形のプランで断熱は天井裏に施工し、断熱的な弱点である窓は必要最低限とすれば、Q値は良い結果となります。Q値を売りにしているハウスメーカーはこのタイプを標準として謳っている場合が多いです。ですが、実際は敷地形状や外観デザイン、空間的な遊びなどから正方形の建物と言う訳には行かず、Q値も大きくなるのが実情です。埼玉・東京・千葉(多くがⅣ)の地域で次世代省エネ基準はQ値2.7以下が必要になりますが、プランよっては満足出来なくなります。そこで、断熱性能を高める為に自由にカスタマイズできる必要があるのです。例を挙げご説明致します。

  • 天井断熱材:高性能グラスウール16k厚105㎜
  • 壁断熱材:高性能グラスウール16k厚105㎜
  • 床断熱材:グラスウールマット32k厚80㎜
  • 窓:アルミサッシュ + ペアガラス
  • 換気:第3種換気設備

こちらの住宅ですが、仕様規定では窓にレースカーテンを使用すれば等級4となります。しかし性能規定Q値だと約2.91W/㎡Kとなり、Q値2.7を満足出来ていません。この仕様をカスタマイズしてQ値2.7以下になるようにしてみます。

素材・仕様 Q値 費用
①窓ガラス LOW-Eペアガラスに変更 2.54W/㎡K 約8万円
②天井断熱材 高性能グラスウール16k厚105㎜を追加 2.81W/㎡K 約5.8万円
③床断熱材 グラスウールマット32k厚120㎜に変更 2.88W/㎡K 約7.4万円
④窓 アルミ樹脂複合サッシュ+アルゴンLOW-Eペアガラスに変更 2.15W/㎡K 約38万円
⑤換気 第1種熱交換換気システム(熱交換率80%) 2.73W/㎡K 約35万円

Q値2.7は①ガラスの変更だけで実現可能です。もっと高断熱化を目指すと②も採用します。③はQ値の比較では影響は少ないですが、床表面の温度を考えるともっと厚くして採用したいところです。④は予算に余裕があれば是非採用したいです。①はガラスでの結露は少ないですが、アルミ部材での結露はおこってしまいます。ですが、④であれば室内側が樹脂なので結露し難くなるからです。⑤は④を採用した上で、まだ省エネを目指す場合に採用したい設備です。全部採用した場合のQ値は1.90W/㎡K 値段は約86.2万円(税込)です。これは東北の青森・秋田・岩手等の寒い地域でも満足できる断熱性能になります。暖房エネルギーはモデルプランの約63%減となりかなり省エネになります。これらの計算は一例に過ぎません。実際はLOW-Eガラスにすることで室内に入る太陽光を遮り、暖房負荷が増えることがあります。大切なことは計画に応じてQ値を計算し・暖房負荷を考慮し何を採用することで費用対効果が高くなるのかを考え、設計することになります。当然、そこまでするのはとても知識・労力が掛ります。ですが本当に暖かい住宅を費用対効果良く造ろうとする場合は必要なことなのです。1010houseの建築家は空間的な魅力・デザインなどを追及しつつ、温熱環境を重視して設計を行っていますので、「建築家の設計した住宅は寒い」は当てはまらないのです。

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